香水に用いられる香りはどのように抽出されているのか

香水に用いられる香りを天然物から抽出方法は多くあり、それぞれ名前が異なっています。

 

エッセンシャルオイルの抽出において特に用いられている手法といえば、水蒸気蒸留法でしょう。

 

水蒸気蒸留法とは、
蒸留釜に入れた原料植物に水蒸気を吹き込むことで精油成分を気化させ、そ
の後水蒸気を冷却して水と精油に分離する手法です。

 

この方法の特徴は、比較的安価な装置で抽出ができることです。

 

しかし、水蒸気蒸留法には課題がありました。

 

原料植物が高熱に晒される都合上、
それらで香りが変わってしまうほどデリケートな香油の精製には用いることができないのです。

 

しかしジャスミンやチュベローズといった、
熱に繊細ながらも魅力的な精油も多いのが事実です。そんなニーズに用いられていたのが、今回書いていくアンフルラージュ法です。

 

アンフルラージュ法とは油脂吸着法とも冷侵法とも呼ばれている手法で、
獣脂が有している香り分子を吸着する性質を利用した精油方法です。

 

具体的に説明しますと、次のような手順になります。

 

まずはシャッシーと呼ばれる木枠がついたガラス板の表面に、
脱臭した牛脂(ヘッド)や豚油(ラード)を塗りつけます。

 

その上に原料植物を並べて放置し、
一定期間(ジャスミンの場合は約二十四時間)経つごとに原料植物を取り替えます。

 

この操作をおよそ一ヶ月繰り返すことで、
香り成分を十分に含んでいる、ポマードという油が完成します。

 

そのまま練り香水としても使えるポマードですが、香水として利用する場合まだ加工が必要です。

 

ポマードを更にエタノールと混ぜ、香りをエタノールに移した後、蒸発させることによってエタノールを蒸発させ、以上の工程を踏むことによって、ようやく精油が得られるのです。

 

……そして、この余りにも手間暇と人手と時間が必要となる工程こそ、アンフルラージュ法の問題点です。

 

非常に多くの製造コストを要するこの手法は、商業的に実用しがたいものなのです。

 

マリリン・モンローの逸話で有名なシャネルの五番を生んだという、
南フランスのグレースという町では、かつてアンフルラージュ法が盛んに行われていたと記録されています。

 

が、温めた揮発性溶剤に原料植物を入れて精製する、溶剤抽出法というより効率的な抽出法が研究されたので、取って代わられてしまいました。

 

現在は観光用に行われているのみのアンフルラージュ法は、負けてしまった抽出方法と言えるでしょう。